こないだ休みの日に日がなネットを彷徨って見つけたバンド。というかケイト・ステイプルという人のプロジェクト。本国でもまだやっと認知され始めたみたいなバンドみたいですけど、ぼくとしてはジーズニューピューリタンズ以来久しぶりのビッグヒット。動画を見あさってしまいました。あんまりいいので、この興奮を書き付けておこうと。
芸術に向かうときぼくらはいつも「異質なもの」に引き寄せられると思うんだ。どこかいままで自分が抱えていた既成の枠を外れてくるようなもの。そういうものに触れることで、ぼくらの今まで開いてなかった窓が開かれて別の景色が見えてくる。
少なくともぼくにとっては、このthis is the kitを聴いたとき、「あれ、これふつうのポップミュージックと違うんじゃないか?」っていうような思いを抱いた。これは別な風に聴かないといけないんじゃないかって。 どこが違うとはっきりはいえないけど、まずはこのケイト・ステイプルのメロディと歌唱なんだろう。反復の多いメロと歌詞なのだけど、歌詞の反復、メロディの反復が、ズレたり重なったりすることがコークスクリュー的なドライブ感を生んでいるんだな。それから微妙に揺れる「こぶし」のような節回しと。メロディというのは音が繋がって出来ているんだな、とそんな当たり前のことを思う。つまり連なった音符の黒丸に穴を開けビーズのように糸で「繋げる」こと、それで初めて音楽が「流れる」んだなと。それは音楽というもののひとつの本質なのだけど、ディスイズザイットの音がいままで気にもしなかった大事な「当たり前」に目を開かせてくれる。別の景色ってのはそういう意味だ。
トラッドっぽいメロなんだけど、ベタなフォークでもベタなカントリーでもない、ときおりラテンやジャズの響きさえ聴こえるようで。バンジョーをためらいなくエレキギターに持ちかえる自由度があって。インタビューで影響源にヴェルヴェットアンダーグラウンドを挙げてたけど、なんか分かる。これはジャンルミュージックじゃなくて、やっぱりポップミュージックなんだ。
化粧っ気のないヴィジュアルのダサさもいいよね。好き。ライヴでも手編みのセーターみたいのとか着てるし、他のメンバーも部屋着みたいなスウェットみたいの着てるし。
これなんか演奏しているところを赤ちゃんがうろうろしているという。生活と音楽が地続きというか、演奏するために髪にスプレーかけて化粧して黒いレザーの衣装を身に着けなきゃいけないなんてことなくて、音楽産業は滅びても、音楽は残るんだな、ってそんなことを思う。
ライブの映像があんまりいいので、つまり弾き語っているだけの生の存在感が圧倒的に美しいので、レコードではこの存在感を壊しはしないかと心配したけど、レコードもいいです。まだこれ一枚しか聴いてないけど。
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ぼくは「ホワイトチョーク」以降のPJハーヴェイが好きなんだけど、あれにも似た非コマーシャルなざっくりとしたアーシーな音象。純朴フォーク然としていつつも、今のシーンにおけるアップトゥデイトな音というのも意識されている。それもそのはずというかプロデューサーが同じ人だ。「レットイングランドシェイク」があんだけ評価されるんだったら、これも少なくともノミネートくらいされるべきだろって思ってウィキペディア読んだら同じようなこと言っている人もいるみたいだ。まあほんとのところマーキュリー賞とかもらって、セレブになってこの雰囲気が壊れちゃってもいやだから、続けられるくらいだけの人気があればいいと思うけどね。
先日従姉妹から古びたピアノ頂きました
兄に頼んで50キロの道のりを運んでうちにきました、生活の一部にまるで場違いのピアノと思っていましたがもったいないですね。そんなことないって思いました。
ピアノ、全く弾けないのに、ギターとかトランペットより触れている時間が長いです。
母曰く、わたしの適当ピアノはマイナーコードばかりで暗いそうで。そんな事ないと思うんですがやはり未だ破壊的なところに魅了されているのかも、、
この記事に書くようなコメントでなく、大変恐縮で申し訳ないんですがなんとなくレディオヘッドはどのあたりがお好きなのか気になりました。
何かの機会に是非教えていただきたいなと思っています。